進化するパリ
欧州かわら版 2018年2月号
目指せ!ロンドンに代わる金融センター
英国の欧州連合(EU)離脱に伴い、EU加盟国間ではロンドンに代わる「欧州の金融センター」の座をめぐって、金融機関の誘致合戦がヒートアップしています。
Post-Brexit(英国のEU離脱後)の金融センターの有力候補地であるパリを有するフランス政府は、2017年7月「パリの金融センター化に向けたフランスの野望」を発表し、様々な改革に着手する姿勢を鮮明にしています。
実際、英銀のHSBCがロンドンに勤務する従業員の一部をパリへ異動させることを決めたり、EU機関の一つで、ロンドンに本部を置く欧州銀行監督機構(EBA)のパリ移転が決定したりしています。今後もフランス政府は、ライバル都市であるフランクフルト(ドイツ)、アムステルダム(オランダ)、ダブリン(アイルランド)等としのぎを削りながら、パリをより魅力的な金融センターにするための努力をして行くと思われます。
「パリの金融センター化に向けたフランスの野望」 主な改革案 |
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2022年までに法人税率を25%に引下げ(現行33.3%) |
予定していた金融取引税の拡充を取りやめ |
労働法の改正(より分かりやすく、シンプルに) |
パリ控訴院内に、国際ビジネス訴訟に特化した部門の創設 |
インターナショナルスクールの増設 |
直近150年で最も野心的な都市整備プロジェクト
「グラン・パリ計画」進行中
フランス政府は、パリ首都圏の都市整備にも積極的で、2010年6月に「グラン・パリ法」を制定しました。これは、パリ首都圏をニューヨークやロンドンに匹敵する経済都市にするため、公共交通網の整備とそれに付随する地域開発計画を法制化したもので、その予算規模は350億ユーロにのぼります。
一方で、2010年当初よりも建設コストが1.5倍に膨れ上がったことや、パリが2024年の夏季五輪の開催地に決定したことによる財政逼迫の懸念から、計画縮小の動きもあるようです。しかし、グラン・パリ計画はマクロン大統領にとって最優先事項であることに加え、五輪開催に向けた公共交通網の整備は避けては通れない課題ですので、計画縮小の可能性はあるものの、インフラ整備が進んで行くことは間違いなさそうです。
「グラン・パリ計画」の概要 |
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地下鉄路線整備計画「グラン・パリ・エクスプレス」
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年間7万戸の新規住宅建設 |
ベンチャー企業の育成や外資誘致のため、パリ郊外にある7つの産業クラスターを拡充 |
ヴェルサイユ宮殿に泊まれるチャンス到来?!
進化するパリにちなんだ面白いトピックスがもう1つ。パリ郊外にある、世界で最も有名な宮殿「ヴェルサイユ宮殿」の一部が最高級ホテルとして2019年夏にオープン予定だそうです。ホテルとして使用されるのは、宮殿の左側にあるグラン・コントローレ、プチ・コントローレ、パピヨン・デ・プルミエ・サン・マルシュと呼ばれる3棟で、ルイ16世の在位中は財務を司る役所が置かれていました。
国からの補助金が減る中、フランスの重要文化施設は独自の資金調達を模索しており、この計画もその一環。宮殿を管理するヴェルサイユ宮殿美術館国有地公団は、2015年8月にこの3棟の活用を巡る入札を呼びかけ、審査の結果、フランスのホテルグループ、ロブ・ホテル・コレクションとフランス料理の有名シェフ、アラン・デュカス氏の合同事業体が60年間賃貸することになりました。
計画発表当初の予定では、客室は20室、改修費用は2500万ユーロとのこと。2024年のパリ五輪では、ベルサイユ宮殿で馬術競技が行われる可能性があり、この高級ホテルがフランスの好感度アップに貢献する未来予想図も垣間見えます。
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