カタルーニャ州はなぜ独立したいのか?

カタルーニャ州はなぜ独立したいのか?
2017/11/06

欧州かわら版 2017年11月号

カタルーニャ独立騒動

10月1日、スペイン北東部のカタルーニャ州で行なわれた独立を問う住民投票は即日開票され、独立賛成派が90%を占めて勝利しました。カタルーニャ自治州首相は独立宣言の即時実施を一旦は保留し、スペイン政府との対話の機会を探ったものの、両者の対立は平行線を辿り、10月27日に中央政府がカタルーニャ州の自治権の停止に踏み切ると、それに抵抗したカタルーニャ州議会が独立を宣言するなど、混乱が続いています。

スペインの地方行政

スペインは、権限を持った17の自治州が集まって成り立っています。日本の場合は、日本の憲法の範囲の中で、各自治体が条例を作って行政を行っていますが、スペインの場合は、独自の議会や政府を設け、社会福祉や教育、治安などの政策を担う州が集まって、一つの国を形成しています。スペインの憲法は自治州に広範な自治権を保証しながら、中央政府にも強い権限を持たせているのです。

スペイン カタルーニャ州
(スペインに占める割合)
面積 505,988㎢ 32,106㎢(6.3%)
人口 4,645万人 745万人(16.0%)
首都/州都 マドリード バルセロナ
言語 カスティージャ語 カタルーニャ語/
カスティージャ語
GDP 1兆1,139億ユーロ 2,236億ユーロ(20.1%)
一人当たりGDP 23,178ユーロ 28,997ユーロ(125.1%)

(出所)IDESCAT 2016年値、一人当たりGDPは2015年

文化的理由

スペインも他の多くの国々同様、戦争や内戦、独立などを繰り返し形作られてきた歴史を持ち、カタルーニャも、かつては独立国家でした。1700年頃から始まったスペイン継承戦争で、当時のカタルーニャの首都バルセロナが陥落し、スペインに取り込まれました。1939年から36年間続いたフランコ独裁政権下では 首都マドリードから、カタルーニャ文化に徹底的な弾圧を受けるなど、苦難の歴史が独立運動の根底にあります。

財政的理由

バスク州とナバーラ州以外の州に徴税権はなく、カタルーニャ州を含む他の15の州は、国からの交付金が財源となっています。カタルーニャ州は国税負担額が国からの交付金額よりも多く、2013年は州内GDPの4.53%分、金額にするとおよそ88億ユーロの持ち出し状態でした。一方、税負担に対する見返りが少ないため、鉄道や高速道路などのインフラ整備が他の自治州に比べて遅れているといわれています。同州にはこれに不満を抱く人たちが多く、欧州債務危機で景気が悪化する中で税の負担感が強まり、独立運動に火がつきました。

2013年 国からの交付金額-国税負担額

(出所)Informe sobre la dimensión territorial de la actuación de las Administraciones Públicas, Ejercicio 2012

独立してもいばらの道

しかし、たとえ、カタルーニャが独立を強行したとしても待っているのはいばらの道です。カタルーニャが他国から支持され独立国家として承認される可能性はほとんどありませんし、もし、独立が認められたとしても、カタルーニャは自動的に欧州連合(EU)から離脱することになるとみられているため、英国と同じ道を辿ることになります。また、独立の動きをみて、企業の州外への本社移転が続いており、厚い企業集積が強みの同州にとって逆風となっています。
自治権停止という異例の強行措置の副作用は避けられそうにない状況ですが、事態の収拾を優先したラホイ政権の今後のかじ取りが注目されます。

くわしくはPDFをご覧ください

上記は特定の有価証券等の勧誘、推奨を意図したものではありません。

本資料に関する留意事項

本資料は、NNインベストメント・パートナーズ株式会社が情報提供を目的として作成したご参考資料であり、金融商品取引法に基づく開示資料ではなく、投資勧誘を目的とするものではありません。本資料は信頼できると考えられる情報に基づいて作成しておりますが、情報の正確性、完全性を保証するものではありません。本資料中のいかなる内容も将来の投資収益を示唆あるいは保証するものではありません。本資料に掲載された見解や予測は作成時における判断であり、予告なしに変更されることがあります