欧州かわら版

2017/09/06

EU離脱と英国のオフィス不動産市場

好調であった英国経済

英国で2016年6月に行われた国民投票で、EU離脱派が勝利を掴んだことで英国経済には先行き不透明感が広がりました。しかし、国内の強い消費に支えられたこと、英ポンド安が進んで、輸出企業の追い風になったことや海外からの投資が進んだことなどから、2016年までは予想以上に好調な経済を維持してきました。

忍び寄るEU離脱の影響

 しかし、その好調ぶりに影が差してきました。2017年第2四半期のGDPは前期比0.3%増と、2期連続で低迷が続きました。これには政府統計局も昨年6月の国民投票以降、英経済は底堅さを保ってきたが、転換期を迎えつつあるとの認識を示しています。

英国実質GDP成長率(前期比)
2016Q1 2016Q2 2016Q3 2016Q4 2017Q1 2017Q2
+ 0.2% + 0.6% + 0.5% + 0.7% + 0.2% + 0.3%

 2017年6月に行われた英国の総選挙は、メイ首相は力強い政権でEU離脱の交渉に臨むため、圧勝を狙い前倒しで行われました。しかし、その願い叶わずどころか、メイ首相率いる保守党は議席の過半数を維持できないという惨敗の結果に終わりました。それでも、ハードブレグジット路線(EU単一市場からの完全なる決別)を崩さないメイ首相の前には、難しい交渉が立ちはだかることが予想されています。

現状の英国のオフィス市場と今後

 さて、英国のオフィス不動産に目を向けてみます。日本では大手企業が英国のEU離脱に備え、ドイツなどの大陸欧州に中核拠点を構えるとの報道が出ていますが、その影響は出ているのでしょうか?
 ロンドンでは2017年から2018年にオフィスビルの竣工のピークを迎え、その後2年間についても多くの物件が竣工されます。
 例えば、2017年上期には、アマゾンの英国本社が床面積5万5千平方メートルを超える新オフィスビルに移転しました。2017年秋には金融情報サービスのブルームバーグがシティのど真ん中の巨大な新オフィスビルに欧州本社を構えるなど、これら大型案件を含め、非常に良好な環境であったと言えます。
 2018年以降も大量のオフィススペース供給がありますが、英国の失業率は現在歴史的低水準にあり、完全雇用に近い状態です。新しいオフィススペースをきっちり埋めるほど多くの新たな労働者を確保することは難しいと言えます。では、国外からの労働者は?というと、特に大陸欧州から英国に来る労働者は、EU離脱後は働き続けることができなくなるかもしれないため、これが心理的に大きな影響を与えています。 

 こういった事情と欧州全体の良好な景気に支えられることが相まって、今後のロンドンのオフィスの空室率はわずかながらに上昇、賃料相場は下落するものの、大きな相場の崩れはないと予想されています。

空室率 賃料平均上昇率
2016年 2019年予 2014-16年 2017-19年予
4.4% 4.8% +6.0% -1.7%

EU離脱に対する懸念が数字に出始めたとも言えますが、英国の今後の行方は、EU離脱に際してどのような協定を結べるかにかかっており、その道筋がつけば市場の不透明感は払しょくされると考えられます。

出所 上記のグラフはすべてブルームバーグのデータをもとにNNインベストメント・パートナーズ株式会社が作成、空室率、賃料平均上昇率の予想はクッシュマン・ウェイクフィールドの予想

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